株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史

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zoom RSS 虚構の株価急騰劇、日本を太らせてから食え

<<   作成日時 : 2016/01/25 03:35   >>

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先週の1月22日金曜日、日経平均は株価は941円の大幅高となった。暴騰したといった方がいいだろう。そのため、一部の投資家からは、市場環境が変わったのではないのか、追随買いをしても大丈夫ではないのか、といった声も上がっている。本当に、そうだろうか。

24日、日曜日にその“仕掛け”について、詳細に書こうと思っていたのだが、アルコールが入り、だるくなってきたので、簡単に記述する。
昨年、18000円割れで、逆張り投資の好きな投資家は買いに入り、さらなる下落により損失を被った投資家もいるので、今回の16000円割れ寸前(21日)でも疑心暗鬼に陥った投資家もいたが、22日の急騰で、自らの判断力に自信がなくなってきた投資家もいるのだろう。

さて、日経平均は、20日、632円安、21日は、398円安の16017円。2日間で1000円以上の下落幅だが、21日は後場の12時34分、この日の最高値である16734円を付けた。前日比で318円高だ。その後は下落の一途で大引けは398円安となったわけだが、高値から大引けまでは700円強の下げ幅となった。

外資系ファンドなどの超高速取引により、株価が乱高下するのは今に始まったことではなく、驚くに値しないのかもしれないが、前場では上昇し、後場急落するのは、一体、どのような材料があったのか。中国景気の減速とそれに伴うアジアの減速、さらには世界経済の減速感、原油安、円高、堅調だと見られていた米国経済への懸念、それに伴うNYダウの乱高下、ヘッジファンドからの資金流出による投機マネーの減少など理屈をつければ、いくらでもあるが、それは、すでに分かっていることだった。その流れが変わらないのに、なぜ、前場では上昇したのか。
そして、この日の売買代金は3兆0846億円で、久々に、わずかだが、3兆円を超えた。

この日、日経平均を下げたのは、フィスコの日経平均寄与度によれば、次の通りになる。


値下がり上位銘柄
コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度
<9983> ファーストリテ 34610 -1040 -40.80
<9984> ソフトバンクG 4544 -148 -17.42
<9433> KDDI 2700 -65 -15.30
<6954> ファナック 17720 -370 -14.51
<7267> ホンダ 3162 -153 -12.00
<4324> 電通 5690 -240 -9.41
<9735> セコム 7314 -195 -7.65
<7203> トヨタ 6392 -182 -7.14
<3382> 7&I-HD 4731 -181 -7.10
<4503> アステラス薬 1500 -36 -7.06

日経平均を動かすには、浮動株が少ない「5人組」がねらわれる。ファーストリテ、 ソフトバンクG、 KDDT、 ファナック、そして、この日の値下がり寄与度10位には入っていなかったが、京セラの5銘柄だ。

この5銘柄の動向で日経平均は大きく動き、そして、全体の地合いに多大な影響を及ぼす。

では、22日、日経平均が急騰した時の日経平均寄与度の高い銘柄は、なんなのか。次の通りだ。

値上がり上位銘柄
コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度
<9983> ファーストリテ 37420 2810 +110.23
<9984> ソフトバンクG 4903 359 +42.25
<6954> ファナック 18775 1055 +41.39
<6988> 日東電 7378 560 +21.97
<6762> TDK 7350 530 +20.79
<6971> 京セラ 5138 262 +20.56
<6367> ダイキン 7709 497 +19.50
<4503> アステラス薬 1597 97 +19.03
<7203> トヨタ 6822 430 +16.87
<9433> KDDI 2769 69 +16.24

「5人組」がずらりと並ぶが、このわずか10銘柄だけで、日経平均は350円以上も押し上げられた。さらに22日の業種別指数を見てみよう。上昇率の高かったのは、次の通り。

順位 業種 指数値 時刻 前日比 騰落率
1 鉱業 288.07 15:00 +18.91 +7.03%
2 倉庫運輸関連 1,506.11 15:00 +97.78 +6.94%
3 不動産業 1,350.63 15:00 +86.72 +6.86%
4 鉄鋼 469.94 15:00 +28.92 +6.56%
5 その他金融業 561.37 15:00 +34.36 +6.52%
6 ゴム製品 3,013.08 15:00 +181.11 +6.40%
7 証券商品先物 376.13 15:00 +22.60 +6.39%
8 非鉄金属 843.23 15:00 +49.65 +6.26%
9 その他製品 1,635.44 15:00 +96.39 +6.26%
10 輸送用機器 2,890.69 15:00 +169.63 +6.23%
11 機械 1,335.45 15:00 +76.75 +6.10%
12 電気・ガス業 460.39 15:00 +26.35 +6.07%
13 石油石炭製品 835.92 15:00 +46.70 +5.92%
14 繊維製品 677.15 15:00 +37.39 +5.84%
15 化学 1,360.44 15:00 +75.04 +5.84%

これまで、原油下落に伴い資源価格全体の下落により企業破綻さ鵜懸念される鉱業、鉄鋼、非鉄、石油、石炭製品など、これまで売りの対象だった銘柄が上昇率の上位にある。

20、21日と大幅下落した経済環境は、22日に急変したというのだろうか。
22日の急騰について、新聞などは、ECBのドラギ総裁が3月に金融緩和実施を示唆したこと、また、円が118円台に乗せたこと、原油が1バレル30ドル台に上昇したこと、中国の上海総合指数が、この日は下げ止まったこと、などを上昇要因としている。

では、この上げ理由は持続するのか。
馬鹿らしい。22日の売買代金は約2,8兆円。潮目が変わったとして、割安だから多額の買いが入ったわけではない。売買代金は、21日より少ない。
そして22日、これまで現物、先物で売り越し、また寄り付き前の注文でも売り越しを続けて地合い軟化を演出してきたのに、外資系証券は、この日は買い越しに転じた。

だから、始値から日経平均は大幅な上昇となった。
年初以来、信用や先物で売り叩いた投資家は、巨額の利益を享受してきた。
ところが、反転して上昇となれば、利益が減少する。
そこで、慌てて買い戻しで清算しなければならない。
いわば、22日の高騰は、売り方を締め上げた踏み上げ相場であり、今後の経済予想や個別企業のファンダメンタルズなどは、無関係の相場だったのだ。

1989年末、日経平均は大幅に上昇した。外資系証券などが、品薄で、日経平均を押し上げやすい銘柄を買いあがり、そして、1990年1月から売り叩く。そして、バブル崩壊へと向かう。
その外資系の手口については、何度か雑誌で書いて来たので、省略するが、「豚は太らから食え」というのは、変わらぬ相場の真実だろう。

16000円まで下落し、さらに下落させるためには、上昇させて売りで儲かる環境を作らねばらならない。16000円から、さらに下落させるためには、そのエネルギーを蓄えねばならない。下げで儲け、上げでも儲けて、そしてどてん売りでさらに儲ける。相場の世界では、正直者、目先だけの現象を見ているものは、のろまであり、カモである。

長くなってきたので、止めるが、食べる側となるのか、それとも食べられる側となるのかは、あなたの判断力にかかっている。


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