株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史

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zoom RSS なぜ日経平均17000円割れでも売り叩かれるのか

<<   作成日時 : 2016/01/20 02:30   >>

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「そろそろ、買い場ではないんですかね」
私の知り合いの投資家たちは、いささか苛立ち気味だ。大発会から日本株は下落の一途で、日経平均は17000円を割り込んだ。
あまり売買をしない傍観者的な投資家は別にして、ベテラン投資家は、昨年内に持ち株のほとんどを売却した人が多い。中国ショックを契機として外人投資家の売り越し基調が続き、去年の9月29日に日経平均は17000円割れの16901円まで下落した。

そして、その後は上昇に転じ、12月1日には20012円と2万円台を回復。目標達成として多くのベテラン投資家は、持ち株を処分して、下げを待っていた。そして、年初からの下落で、思惑は当たったわけだ。
再び、17000円割れで、再び、上昇基調に転換するのではないのか、と考えるのは、「過去」を見ているからだ。それは、「歴史は繰り返す」、あるいは「過去に学べ」という投資家だけではない、人間の習慣的行動様式でもあるからだ。
しかし、そう考えるには、前例と前提条件が同じであることが必要だ。
〈タイトル変更しました・書いたのは20日午前2時過ぎで、19日の日経平均17000円台をベースにしていましたが、20日、日経平均は632円の大幅安となり、タイトルがふさわしくなくなってしまいました。記事は下落予想であり、本文記事に変更はありません〉

今日、1月19日、中国の国家統計局が2015年のGDPの速報値を発表した。前年比で6、9%増だったことから、夕刊では「中国成長率鈍化、25年ぶりの低水準」などと大きく報じられた。

また、この日、IMFは世界経済見通しを公表し、「2016年の世界成長率予想を昨年10月時点の3.6%から3.4%に引き下げた。中国貿易の大幅な伸び悩みや商品価格安によってブラジルなど新興国市場が打撃を受けていることが要因。」とし、「16年の中国成長率予想は6.3%、17年は6.0%で据え置いた。ただ、14年の7.3%、15年の6.9%からは依然大幅な景気減速となる。」としている。

なぜ、中国への予想は、「据え置いた」のか。
過剰設備を抱えた国営企業の多くは赤字を垂れ流し、リストラ、再編を余儀なくされている。また、地方政府も借金漬けで、東北地区を中心に破綻する地方も出ると予想されている。
そのため、地方政府による地方債の発行限度額の上限を引き上げた。危ない地方ほど地方債を発行しなければならないが、そのような債券を一体、誰が買うのか、あるいは、買い手がいるのかは不明ながら、中国経済は袋小路に迷い込んでいる。

もとより、中国発表の経済関係の指標を鵜呑みにする投資家はいないが、IMFの発表にしても眉唾物だ。民間の研究所などでは、中国の成長率は5%、あるいは3%以下との分析も出ている。「25年ぶりの低水準」どころの話ではない。

しかし、IMFにしても、厳しい予想は出しにくいのだろう。ますます、世界経済は委縮してしまうからだ。中国については、詳しく書きたいと思いながら、なかなか時間がないのだが、経済問題には、中国が進めている軍部の改革も絡んでくる。
昨年の12月11日、習近平主席の懐刀として軍の反腐敗運動に取り組んでいた劉源・総後勤部政治委員が突如として退任した。

江沢民派の軍事委員会の元副主席、徐才厚と郭伯雄ほ失脚させた立役者なので、
劉源は、昇格し、習体制を支えるとともに、軍の腐敗をさらに徹底的に改革していくものと見られていた。

ご存じのように中国の軍部でも役職は賄賂により決まる。
また、軍事費も着服される。軍需産業との癒着も横行しているため、中国製の兵器に欠陥品が多いのは、技術不足や「オカラ工事」のためだけではない。
この件を書くのが趣旨ではないので省略するが、要するに軍部には依然として江沢民派が跋扈し、習近平は、劉源を見捨てざるを得なかった。
すでに習近平に対する暗殺未遂事件が多発しているといわれている。胡錦涛前主席などは、海軍視察のため乗艦していた艦船に、中国海軍がミサイル攻撃をしたことがあるほどだ。当時、香港紙などでは、大きく取り上げたが、なぜだか、日本では、ほとんど報道されていないが――。

ところで、米の第七艦隊には、原潜がさらに配備され、また、現在のロナルド・レーガンだけでなく、もう一隻の原子力空母「ジョン・C・ステニス」が、1月15日にワシントン州の母港を出港した。
東アジアに展開する目的だと伝えられている。横須賀に寄港するのかもしれない。精神的な不安定に陥っていると見られている金正恩は、何をするかわからないとしても、北朝鮮をけん制するのに、原子力空母を2艦体制にする必要はない。

やはり、主目的は、南シナ海だろう。
それにより、中国軍部の予算増額要求は高まるだろう。中国経済が疲弊しているにもかかわらず、軍部が軍事費の増額を要求しても、軍の反乱を恐れる習近平体制には、それを抑え込む力はない。
旧ソ連が、米国との軍拡競争で経済を疲弊させたように、中国もまた、経済を悪化させるとともに、中共政権内の分裂も誘発するだろう。
中国経済の悪化に拍車がかかる。

どうも、話が本題から離れてしまったので、元に戻し、要点だけを述べれば、原油価格の下落で、米国の資源、エネルギー産業の破綻が増加すると見られている。1月14日、JPモルガン・チェースは、石油・ガス関連融資で、破たんリスクのための引当金を1億2400万ドル追加したと発表。
昨年、米国の石油・天然ガス企業の42社が破綻。負債総額は170億ドルと言われている。

WTIの原油先物価格は20ドル台に突入した。自噴する中東の石油と違いシェールガス、オイルの採算分岐点は高い。そのため、原油価格の低迷により、多くのシェール関連企業が破綻すると見られている。投資額が大きかっただけに、その影響は、米国経済に大きな爪痕を残すだろう。

ところで、FRBは、年内に小刻みな利上げを3−4回実施すると見られていた。だが、エネルギーの輸入国から輸出国への転換という「米国の夢」物語は、もはや幻想でしかない。

その様な状況で、米国は本当に利上げができるのか。
それは、米国の利上げで、円安、ドル高が進み、日本の輸出企業は恩恵を受けると主張してきた多くの証券アナリストの予想の前提条件が狂ってきた。ということでもある。

よほどの環境変化がない限り、円ドルが120円前後で安定するのは、望み薄だろう。すでに円は116円を付けたが、頼みの米国経済の悪化が明らかとなれば、110円、あるいは、それ以上の円高になる可能性もある。

慎重なトヨタ自動車でさえ円ドルの想定レートは、118円。120としている輸出産業も多い。円安による業績かさ上げではなく、下げ要因に逆転しつつある。

そして、7月にはW選挙と見られているが、その前には、株価を上昇させたいことだろう。黒田日銀総裁は、大胆な追加緩和策の用意があると繰り返してアドバルーンを上げているが、それを真に受ける投資家はいない。

7月の選挙までにはまだ長い時間がある。追加緩和をしても、大した効果はないだろうが、少ないガードを切ってしまえば、お手上げになる。
だから、外人投資家は、日銀や、年金資金などの動向を見ながら、日本叩きを加速させる可能性がある。日本市場ほど、カモにしやすいところはない。

さて、1月19日、日経平均は92円高の17048円とわずかながら17000円台を回復した。
しかし、売買代金は約2.2兆円と低迷。
前場では、11時過ぎには17000円台を回復したものの、その後の約30分間で276円も急落している。後場では、13時15分過ぎに再び、17000円台を回復するものの、その後は再び、17000円割れ。14時15分ごろから上昇に転じ、何とか17000円台まで戻したが、何とか92円高で17000円台の終値となったのは、大引け間際に上昇したから。お化粧買いが入ったという感じだ。

なお、予断だが、大引けの値段だけを見て相場を判断している投資家は、この乱高下相場では、勝者とはなりえないだろう。
いずれにしろ、17000円割れでも、反発力は弱い。

個人投資家は、逆張り投資が好きたが、さらに下落すれば、それがアダとなる。
相場好きな投資家にとっては、いらだつ日々かもしれないが、素早い行動力のあるデイトレーダなどは別にして、一般投資家は、今少し、「休むも相場」で、市場動向を観察するのが賢明だろう。

 また、世界の金融環境が大きく変化し、そして、コンピュータによる超高速取引が主流となった市場環境では、当然ながら、取引手法も変わった。
それについても、時間があれば、書きたいと思っている。


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