株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史

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zoom RSS エボラ熱で上昇する富士フイルム株の死角

<<   作成日時 : 2014/09/18 00:19   >>

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エボラ出血熱感染者数、死亡者数が激増している。世界保健機関(WHO)が9月5日に発表した死亡者数は2000人を突破、感染者数は約4000人としていたが、それから10日たらずで死者数は2400人以上、感染者は4700人を超えているという。
8月は1か月足らずで死者数、感染者数が2倍となったが、現在の急増ぶりを見るとWHOが予想する感染者数2万人では、とても収まりそうにない。数十万人となるかもしれない。

それだけに富士写真フイルムの子会社、富山化学が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラピル」への期待も高まる。まだ、人への効果や副作用などが確認されていないものの、エボラ熱の猛威のために、米食品医薬品局が優先的に審査している。もし、認可されれば富士フイルムは、大ばけかする可能性があろう。

「これだけの大材料なのに、富士フィルの株価は、それほど反応していませんが、何か問題がありますか」
 知り合いの投資家は不満げだが、確かに問題点はある。

 投資家が富士フイルムに注目し始めたのは日経が8月8日付朝刊で、「エボラ熱治療薬候補に、富士フイルムのインフル薬、米で手続き」と報じたからだろう。
また、同日の夕刊では「エボラ新薬候補、優先審査、米国防総省、富士フイルムなど開発、1年以内の投入目指す」と報じた。

富士フイルムの出来高は、6−7月には、1日当たり200万株に届かない日が多かった。
それが8月8日には、約1200万株へと急増した。ところが、株価は123円安の2966.5円で引けた。買い材料があるのに、一体誰が売ったのか。
前日の7日には日経の報道を事前に知っているかのように突如として出来高は約700万株へ急増し、159円高となっている。

そして、その後、次第に出来高は減少して200万株を割る日も多くなっている。
それでも、9月16日のザラバでは3299円と年初来高値を更新した。
だから、8月に飛び乗った投資家も、幾ばくかの評価益を出しているはずだが、期待が大きかっただけにもうけは少ない、と嘆いているのだ。

富士フイルム株を巡る構造は三菱ケミカルが大陽日酸へのTOBを発表したのと似ている。(先の当ブログを参照)
まず、富士フイルムのインフル薬がいつ認可されるかわからないということ。数か月から1年以内と報道されているが、信用で買った人は、何カ月も待ってはいられない。だから、値上がりすれば、売り逃げる。

そして、富士フイルムの株主には、外人が多い。
会社四季報(14年3月末)によれば、保有分布は<外国>40.3% <浮動株>は、わずかに8.1% 、
<投信>6.9% <特定株>31.1%となっている。
また、大株主は以下の通りだ。

株主名 持株数・持株比率(%)
自社(自己株口) 3,265 (6.3)
日本トラスティ信託口 3,077 (5.9)
日本マスター信託口 2,727 (5.2)
日本生命保険 1,918 (3.7)
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンSANV10 1,397 (2.7)
三井住友銀行 1,047 (2.0)
ノーザン・トラスト(AVFC)ノントリーティー 735 (1.4)
三井住友海上火災 731 (1.4)
ステート・ストリート・バンク&トラスト505225 576 (1.1)
ステート・ストリート・バンク・ウエストトリーティ 566 (1.1)

信託口などが多くて、真の保有者の名前はわからない。
外資系ファンドなどは、超高速取引で、多頻度売買を繰り返しているのかもしれない。
浮動株が本当に8.1%なら、株価はもっと上昇していただろう。既存株主が売り逃げているとすれば、
中外製薬と同様に仕組まれたものの可能性もある。

最大のリスク要因は、治療薬として認可されなかった時だが、ただ、富士フイルムは業績も良く、まだ、PERは20倍以下で割高というほどではない。
いつ認可されるのかわからないので、信用で買うのは危険だが、現物ならば、それほどのリスクはない。

なお、他日、エボラ熱の脅威は、アフリカでの局地的なものではなく、世界に拡散する可能性があることについて書く予定だが、現物取引をしている人ならば、それほど焦る必要はないだろう。


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