株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史

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zoom RSS 米ロが報復合戦となれば、金融市場の混乱は避けられない

<<   作成日時 : 2014/07/21 19:28   >>

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マレーシア航空機の墜落の真相は国際機関による調査が終わるまで断定はできないが、米国やウクライナが主張しているようにロシア製ミサイルを使っての親ロ派によるものであることは、間違いないだろう。キャメロン英首相は、22日の欧州会議で、ロシアへの追加制裁の強化をすることで、独・仏と合意していると明らかにしている。すでにロシアの責任追及の姿勢だ
 
犠牲者298人中、国別で最多なのはオランダの173人。オーストラリア44人。英国9人、ドイツ4人、ベルギー4人など欧州の犠牲者も多いので、ロシアへの制裁強化は、世論考慮からも避けられないだろう。

ロシアのガスに依存するドイツなどにとっては、経済に関する懸念もあり頭の痛いところだ。米国は、石油会社などの主要企業も対象となると発表しているが、決済のための主要銀行との取引も制裁対象としている。

もし、隠れて取引をする銀行があれれば、巨額の罰金を科すだろう。フランスの最大手銀行、BMPパリバは、米国の制裁法に違反したとして約1兆円の罰金を支払っている。米国の方針に逆らうな、ということだ。

銀行取引ができなければ、貿易も滞る。ロシアは、資源大国といえば聞こえはいいが、輸出の約7割が燃料・エネルギー関連製品。その代金が入らなければ、ロシア経済は、一気に疲弊する。すでに米国系の資金はロシアから流出したが、欧州はもとより、他の国々も追随せざるを得なくなろう。

それにしても、米国にとっては、実にタイミングのいいウクライナ機の墜落だった。7月15日、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICSは、首脳会議を開き「フォルタレザヌ宣言」を発表するとともに、開発銀行や金融危機の際の基金を設立することで合意した。

それは、米国主導のIMFや世銀体制への挑戦に他ならない。
しかもプーチン大統領は、反米色の強いキューバなどの南米国も訪問し、米国によるロシア包囲網に風穴を開けようと動いてきた。

そもそも、BRICS開発銀行の設立は、欧米が握る世界金融秩序に対する挑戦だから、米国が潰しにかかろうとするのは当然予想されたことだろう。「人民網日本語版」(2013年3月29日付)は、「世界にBRICS銀行が必要な理由」で次のように主張している。

 「BRICS銀行の設立は単なる経済面の出来事に止まらず、国際社会におけるBRICSの政治的地位もはっきりと示した。この銀行は世界で最も活力ある5つの新興経済国のさらなる団結の象徴であるだけでなく、21世紀における新興国の台頭もはっきりと示した。これらの国々が集団として責任ある役割を演じることは、世界政治・経済の新秩序構築の助けとなる。

 BRICS銀行はBRICSが国際金融システム改革をさらに推し進めるためのプラットフォームともなる。BRICSは世界銀行の主要債務国であると同時に、国際通貨基金(IMF)への資金貢献を日増しに強めている。

だが5カ国はこの西側主導の2つの国際金融機構の政策決定過程において、自らの経済力および貢献に見合った発言力を得ていない。BRICS銀行の設立によって、途上国の発言力を高めることができる。また、IMFのクオータ改革を途上国の側から促すことになり、世界ガバナンス構造と国際金融システム改革にとって非常に重要な意義を持つ。

 BRICS銀行は無数の途上国にとって福音であり、現有の国際金融機構の運営上の不足点を補うことができる。BRICS開発銀行の設立はキプロス式の危機の回避に役立つ。
また、IMFと世界銀行の途上国への融資や支援は次第に限定的かつ条件の厳しいものになっている。例えば世界銀行は融資事業に厳格な環境基準および西側の価値観に基づく社会基準を設けており、多くの途上国はインフラ整備やエネルギー事業で融資や支援を得られないことがしばしばだ。
BRICS銀行の設立によって、無数の途上国が資金調達のもう1つの選択肢を得ることができる。」

BRICS諸国は、世界的な貢献をしているにもかかわらず、実力が認められず、発言権も弱い。
だから、BRICS開発銀行を設立し、「世界政治・経済の新秩序構築」を目指すといっているのだ。これは、戦争に他ならない。
IMFに対する途上国の批判の声も高く、BRICS開発銀行への期待も高まる。
その開設で合意して、いよいよ始動という段階になって、マレーシア機の問題で足元が揺らぎ始めた。

もともと、中国とインドは国境紛争の火種を抱えているし、一枚岩ではない。
世界的にロシアが批判されるとなれば、インドやブラジルがどのように反応するかも疑問だ。
少なくとも、ロシアは積極的な外交を展開するわけにはいかないだろう。
いわば、米国にBRICS分断の計を発動させる絶好の口実を与えてしまったことになる。


しかも、制裁が強化されれば、ロシア経済そのものが不安定化する。
製造業を育成して、エネルギー輸出依存体質から脱却しなければならないが、そのためには、西側からの投資と技術が必要だが、経済制裁が中期化すれば、イランと同様な状況なりかねない。いわば、ロシアは経済制裁に弱い。

また、原油価格が低下すれば、収入も低下する。
米国が原油輸出の一部解除を発表したのも、原油価格を下落させてロシア経済に打撃を与えるためだともみられている。ソ連経済を疲弊させるためにサウジなどの協力で供給量をアップさせたててたが、この手法が、最近の米とサウジの関係悪化で使えなくなったことも関係していよう。

7月19日、ロシア外務省は、米国の制裁に対する報復措置として、米国人要人の「入国禁止」を発表したが、対立が激化すれば、報復合戦となろう。
今年3月以降、ロシアが保有米国債を大量に売却したといわれている。米国債の保有額は、中国が一位だが、外貨の多様化を主張して増加させてはいない。
二位の日本は保有額を増加させているが、突如として3位に浮上したのが、ベルギーだ。昨年末比で、1500億ドル以上も増加しているので“異変”視され、話題となった。

ロシアが米国債を売却したのであれば、米国長期債の金利が上昇してもおかしくはないが、2.5%前後に張り付いて動かない。
だから、ベルギーが買い支えたことになるが、経済力から見て、ベルギーがその様な大量保有するのは不自然で、ベルギーに米国が資金提供しているとみるのが妥当だろう。

今後、中国がどのように動くのか。混乱に乗じて、投機資金も手ぐすねを引いて待っていよう。
イラク情勢も混迷の度を深めているうえ、イランとの核協議も進展していない。
悪材料は道つづれてやってくる、というが、米ロ対立がエスカレートすれば、何が起こるかわからない。

日本市場も年金資金の買い支えで1,5万円台を何とか維持しているものの、売買代金は少なく、力強い相場展開は期待しにくい。

当分の間は、落とし穴にはまらないように注意深く歩むほかはないだろう。




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