株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史

アクセスカウンタ

zoom RSS 瀬島氏死去が教える戦略なき日本の惨状

<<   作成日時 : 2007/09/05 18:56   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


元大本営参謀、戦後は「財界の参謀」とも言われた瀬島龍三氏が、9月4日、逝去された。95歳だった。日本の各紙は一斉に報じ、内閣改造直後から閣僚の相次ぐ辞任で揺れる安倍内閣を揶揄して「ブレーンなき首相」などと批判している。

そもそも、瀬島氏のようなブレーンを得ようとも、今の日本には、いないのだからどうしようもないが、例えいたとしても、坊ちゃん首相の下では、働かないだろう。「その首相の実力を見るには、そのブレーンを見よ」というが、器量の小さい人物には、それにふさわしい現実しらずの学者ぐらいしか集まっては来ないだろう。

李登輝氏の著作でも、数の多い日本の二世、三世の政治家の問題に触れた項があるが、政治家の資質や選挙制度などについて、根本的な改革をしなければ、日本の前途は、暗いだろう。
まして、世界経済の減速懸念、政治的混乱も予想されるだけに、日本の坊ちゃん政治家には、荷が重い。ペーパーテストで100点をとる頭脳があろうと、政治家は、敢然と実行する胆力がなければ、役に立たない。

いや、しがない投資家とて、決断力のない人は、暴落時はおろおろするだけで、どこまで下がるのかと不安がり、安値で買いを入れることさえできない。新聞雑誌は、株式市場のみならず、混乱時には、正と負の両論を併記して、客観報道を気取るが、投資家にとっては、迷惑な話だ。決断力のない投資家は、迷うばかりだ。それが、今でもある。

ま、そのようなことは、どうでもいいのだが、日本が国際社会でしっかりと存在感を示すためには、若い人に期待するほかはなかろう。「時代が人を作る」というが、成長期にのほほんと生きてきた、団塊や私たち、その周辺世代も、坊ちゃんたちと、大同小異なのかもしれない。

そしてまた、真の人脈もまた、苦難の中でこそ築かれていくものなのだろう。今年8月初旬ごろ、朝鮮日報だったか、記憶は定かではないが、韓国紙にポスコ会長が瀬島氏の病床を訪れたとの報道が、写真入であった。二人の関係が、陸士以来のものであるのか、どうかは知らないが、二人の心の結びの強さ、深さを教えてくれる。最後の別れだったのだろう。

9月5日、中央日報は、『韓日友好のパイプ役、40年余…元伊藤忠商事会長の瀬島龍三氏死去』ど題して報じ、朝鮮日報は、『韓日の密使として活躍した瀬島龍三さん死去、日本復興の「生き証人」』と故人を惜しんだ。

朝鮮日報の一部を抜粋すれば、
 『瀬島氏は韓国の政財界の有力者とも幅広い交流関係を持っていた。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領時代から韓国との関係が始まり、韓国に貿易商社制度の導入を勧めるなど、経済開発・政策にも深くかかわった。全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領をはじめ、朴泰俊(パク・テジュン)前浦項製鉄(現ポスコ)会長や故・李秉普iイ・ビョンチョル)サムスン・グループ名誉会長ら財界の名士と厚い人脈を築き、何度も韓国を訪れている。83年の中曽根康弘首相(当時)の訪韓では、密使として事前交渉を担当した。この過程で日本は経済協力資金40億ドルを韓国に提供したが、これについても瀬島氏が決定的な役割を果たしたといわれている。』

反日教育を受けた韓国の若い世代。それに呼応して日本で広がる嫌韓ムード。やがて「六カ国協議」で日朝の国交正常化と賠償金問題への圧力が強まろう。日韓関係も悪化するばかりだろう。
明日、6日夕方には、モンゴルで開かれている「日朝部会」のあらましが報道されるだろうが、いつものように表面的な話だけだろう。

米、中、韓、露、の圧力の中で、日本が独自路線をとることなど、日本の政治家も、外国の関係者もありえないと考えていることだろう。日本人は、「和」が大切だからーー。簡単に言えば、政治家はもとより、日本人は、胆力がないからーー。
そして、調整、交渉力のある瀬島氏は、逝ってしまった。無能力の日本人を残してーー。


<<追記>>
余計なことを思い出した。
瀬島氏といえば、山崎豊子著の「不毛地帯」の主人公モデルとして有名だが、小説の中で瀬島氏は、若い恋人と再婚している。
雑誌のグラビアだったか、何かに登場願い、カメラマンが、瀬島氏の写真を撮りにいった。そこで、気になっていた点をそれとなく、気分を害さないようにと、そっと尋ねたそうだ。
「小説では再婚されていますがー」と。
すると、「それは、小説の話だー」と怒鳴られたそうだ。
だが、みんな、真実だと思っているのではー。

<<お詫びと訂正>>
記事中にあるポスコ会長が瀬島氏の自宅病床を訪問したのは、3月であり、報道したのは、中央日報(3月26日付け)でした。訂正して、お詫び申し上げます。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
瀬島氏死去が教える戦略なき日本の惨状 株式投資と市場研究の兜町通信   鈴田孝史/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる